受講生の女性比率が50%到達!

12/16/2022
Table of contents

ついにここまで来ることができました。

私たちが提供しているプログラミングブートキャンプで、11 期生の女性比率 が 50%に到達!!

そんなことは不可能だと何人に思われ、言われ続けてきたことか。それを考えると感慨深いです。「え、日本で?男女の機会均等をランキング化したら下から数えたほうが早い国だよ。全体の 25%よりも下って言われてるんだよ?」「え、英語で授業するの?英語は日本人のほとんどが世界に対して遅れていると言われているのに?

ここまでの道のりは本当に険しかった。実際、約 3 年間体力的にも精神的にも力を注ぎ、努力を貫徹してやっと実現できたものです。このブログでは具体的に何をやってここまでこれたのか、良くも悪くも体験してきたリアルな話をシェアしようと思います。 💪

読まれる前に注意事項:

  • この記事はどのようにして、私たちのプログラミングブートキャンプやコミュニティ形成において女性に参加してもらうかに力点を置いているのであって、プログラミングブートキャンプ自体についての話ではありません。もちろん、女性に対してより受容的なコースになるようにしてきた努力は相当なものがあります。それについてはまたそのうちブログを書こうと思います。
  • 私たちのメインコースである"イマーシブ"をあまりご存知でない方は、簡単には入れないということだけは気に留めてください。すべての申込者が技術・非技術両面からチェックする入試に合格しなければならないものとなっています。入試に関してはこちらのリンクを読んでいただければと思います。また、私たちが提供している基礎プログラムを受けることでこの入試を突破できる力が身につけられるようになっています。詳細はこのブログを読み進めてみてください。
  • 私(CTO の Yan)の視点から書いています。Code Chrysalis の共同創立者であり、私のテクノロジー分野のキャリアを通して、より多くの女性が STEM な教育に身を投じることができるよう、活動をしています。

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私たちの各クラスのトレンド 📊

実は一番最初の期では、5 人中 3 人が女性だったので実は半分以上が女性だったのですが、これはたまたまでした。その後一年近くイマーシブには女性の受講者が文字どおりいなかく、一貫して女性の受講者数が見られるまでにはだいぶ長いこと時間がかかり、焦りもなかなかのものでした。

以下は女性の受講者数の割合を示す表です。またここにはいくつか女性の受講者数を上げるうえでのマイルストーンも添えます。ファウンデーションズと奨学金については後ほど述べます。

A table for the mile stone

^ ファウンデーションズとは、パートタイムで行っているプログラミング初心者向けのコースです。 * このクラスには奨学金受講生を含めています。

Code Chrysalis graduates from our CC10 class!

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イベント 🎟

イベント は私たちのビジネスにおいて非常に重要な要素になっています。イベントによってより私たちを知ってもらえる。また私たちのまわりには有用な人脈を築き、受容性を持ち、またイノベーションを求めている人たちが集まるコミュニティがあり、彼ら彼女らとの関係性を深める役割を果たしています。

「近所の方に気遣いしないと、住みやすい環境を築くことはできませんよね?それと同じです。」

平均して 1 週間に 2 回のイベントを開催し、さらにそのほとんどである 95%は参加無料としました。女性に実際に来てもらい、参加してもらうという私たちのミッションの、文字どおり原動力になっています。

今日まで、実に 51.8%の私たちのイベントが、女性に来てもらうためのイベントであったり、女性にプレゼンテーションをしてもらうイベントであったりしました。

2020 年 2 月 26 日までに、Code Chrysalis として 305 回ものイベントを開催しています。

305 回のイベントのうち、48 個(つまり 15.7%)が女性に狙いを定めたイベントです。これらのイベントはWomen Who Code TokyoAnitaB.orgHexagonUXDevJapanといった素晴らしい組織やグループと開催したものになります。

A “WTF is JavaScript” meetup in 2019 at Global Business Hub Tokyo.

また、110 個(つまり 36%)のイベントで女性に登壇いただきました。これらのイベントでは女性にリードしていただくワークショップであったり、女性のパネリストやスピーカーに登壇いただくイベントだったりしたものです。

私たちのイベントの多く(43%)が一人のスピーカーによるワークショップ形式です。一人のスピーカーが行うワークショップ形式のうち、56%が女性によるリードのものでした。つまりこれは何を表しているか。一人のスピーカーに登壇いただくイベントの観点で言えば、間違いなく男女の機会均等を実現しているわけです。

どうやってそんなもの計算したの?本当にその計算あってるの?という方々のために、Meetup.comからデータを抽出してここに掲載しましたので興味があれば御覧ください。また Code Chrysalis が他の組織とコラボレーションして開催したイベントについてのデータも入れてあります。

51.8%という数字はかなり好成績だと考えてはいるものの、まだまだ間違いなく改善の余地ありです。パネラーの 100%が女性で、すべてのパネラーがダイバーシティに富み、インクルーシブな人で構成されるイベント。これが私たちのゴールの 1 つです。

Participants practicing agile development through a marshmallow challenge. We’ve found that name tags help with starting conversations!

インクルーシブなイベントを企画する 👋

女性を対象としていなかったり、女性のスピーカーを招く試みをしていなかったりするイベントがひと目でわかってしまうものもある中で、そういった面でも私たちは女性の参加者を増やすための努力をしてきました。

たとえば Code Chrysalis のイベントバナーをよく見ると、イベントの参加者のダイバーシティが反映されていることが一目瞭然でわかり、また女性の参加者に「これは私にも意味のあるイベントだ」と感じさせるようになっています。

またより多くの女性に参加いただけるように努力も惜しんでいません(主には女性一人ひとりにメッセージをお送りしています)。女性に参加を促すと、コンフォートゾーンを抜け出す一歩を自ら踏み出してくれます。

これらのアクションを通して、私たちのイベントにおいて、より着実な機会均等を見て取ってきています。

DevJapan 👨🏻‍💻👩🏻‍💻👨🏻‍💻👩🏻‍💻

私が誇りに思っている 1 つのイベントシリーズはDevJapanとの共同開催によるものです。Caven Cade Mitchellは DevJapan の創立者で、日本に来て Code Chrysalis を始めたときにお会いした人の一人です。彼と私はコミュニティ形成にかける情熱で意気投合し、DevJapan のイベントをよりダイバーシティ溢れるものにするために、私は DevJapan の共同オーガナイザーとなりました。

DevJapan では一度は 2,000 人のメンバーがいたコミュニティで、毎月コーディングセッションを開催し、メンバーが来てコーディングし、また友好的な関係を築いていました。これらの毎月のイベントで継続的に 60 から 70 人の参加がありましたが、DevJapan のメンバーのリストを見てみると、ほとんどが男性だったのです。女性も興味は示していましたが、イベントには来ていないという現実がありました。

DevJapan のイベントがより来やすくなるために、私は通常のイベントが始まる 2 時間前に、女性だけのコーディングセッションを開催しました(これは今は女性と non-binary なイベントとなっています)。完全に内容は同じなのですが、女性と non-binary 限定にしたものです。男性だけの部屋にぽつんと女性が一人いる状況。そうはならないことを知ると、女性はより心地よく来ていただけました。女性たちが互いに実際に会い、また友好的な関係を築くこと自体が重要だし、それを促すにはとても良い方法だったと思います。なぜかって女性の多くは、コーディングの経験がある女性の友人がいなかったのです。

One of our Women & Non-Binary Coding sessions. Photo taken by the lovely Michelle Nicole Eggers (https://www.mnemphoto.com/).

このイベントによって女性がイベントに参加する際の寂しさという壁を緩和できたと思います。女性にとって心理的安全性が確保され、お互い、開催する環境にストレスがなく、や女性がコーディングに興味を持つことに違和感を感じず、むしろ心地よいものと思えるようになった。

女性だけのコーディングセッションが終わるときも、通常の(男性が多く参加する)コーディングセッションが開始するときもアナウンスはしないようにしています。なぜってそうすると自然と一緒にイベントに参加してくれることがわかったからです。さらにいえば、毎月の DevJapan のイベントの開始時に、部屋の中心においてあるテーブルにはすでに女性がたくさん座っていて活気あふれている状態になっていました。

何回かこのサイクルをまわしていると、逆に男性がイベントに入ってくる姿を見るのが面白くなってきました。なんでかというと、男性は「この場所本当に合ってる?(女性がいるとは思わないから)」と思うわけです。部屋の真ん中にたくさんの女性が座っている。「これって本当にテクノロジー系のイベント?😯」と思うわけです。

さらにしばらくすると、男性も驚かなくなりました。この姿こそ、私たちがまさに目指している姿です。

上記のとおり女性のためのコーディングセッションを通してこそ、通常のイベントに女性が参加してくれる数が劇的に増えたのでした。とある日ランチタイムに通常のイベントを開催するということで、女性だけのセッションをスキップしたことがあります。それでもいつも女性だけのセッションに参加しているとある女性が、通常のイベントのためだけに来てくれたときは格別な達成感を持ったことを覚えています。もはや女性たちはこの空間に心理的安全性を感じてくれており、私たちを必要としていないわけです。これこそがまさに達成したい目標でした。

頑張りぬいたこと ⏳💰

私たちのイベントは参加してくれる方々には無料でお越しいただけます。ですが、もちろんイベントを開催することは時間もかかればお金もかかります。

具体的には以下を必要とします。

  • コンテンツを作る
  • プロモーションする
  • 来ていただけそうな方々に個人的に連絡する
  • 会場、電気、水道代
  • イベントの前後でのコーディネーション
  • (必要に応じて)飲食代
  • 移動
  • フィードバックの収集と改善

最初の一年半は女性だけのイベントを運営するのは私だけだったので土曜日や平日の夜のほとんどをイベント運営に費やしました。もちろんイベントに来てくれるのは 5 人以下というようなことも。でもそれでも継続は力なり、絶対に最終的には報われるときが来ると知って(信じて)いました。

イベントは私たちにとって重要な役割を果たしており、それを通して私たちを可視化して知ってもらいたいと思っています。私たちが書いたこのガイドを見ていただければ、東京で開催されている女性歓迎のイベントを見ることができます。

Partnering with communities who share similar values increases our impact. Thanks SINCA for coming over for an introduction to JavaScript workshop, and for the picture!

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奨学金 🏆

敬意を持ってご紹介しますが、TRI-ADyamaneco が私たちのイマーシブブートキャンプに全額の奨学金を提供してくださいました。これらの奨学金によって、私たちのプログラムにダイバーシティがもたらさられたのも事実です。

というのは奨学金を提供いただくことによって Code Chrysalis とは何なのかを知っていただくことで、私たちの学生にダイバーシティがもたらされました。最終的にこの奨学金を勝ち取れたかどうかにも関わらず、ファイナリスト全員が入学してくれたのです。

これらの奨学金によるインパクトを定量的に分析するためのデータを収集しておけばよかったのですが、当時はデータ収集することができていませんでした。

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プログラミング初心者向けのコース 🚀

特に女性にとっては私たちのイマーシブブートキャンプに参加してもらうことは大変なことであることは早い段階で認識していました。

女性はテクノロジー業界に身を置いたり、業務量が多い仕事に従事したりすることは少ない傾向にあるし、また STEM(Wikipedia参照)な分野を勉強しない傾向もあります。学校では女の子も男の子と同じような数学や理科の成績を残せるにも関わらず、なぜか大人になってくると女性は男性よりも社会におけるプレゼンスを低下させる傾向にある。

ということで私たちはファウンデーションズというプログラムも作りました。これはプログラミング初心者向けのプログラムです。イマーシブの CC3(3 期目)の途中である、2018 年 2 月にファウンデーションズの 1 期目を始めました。

ファウンデーションズの目的はコーディングを通して自信を持ち、また自立と自律心を養うことです。入学すると生徒さんにはとにかく質問すること、「わからない」とはっきり言えるようになること、間違っても良い・間違えても恥ずかしがらずにむしろ成長の機会だと思って受け入れることを強く奨励していきます。これは、伝統的な教育システムの中で培われてしまった悪しき習慣を取っ払うこと。そして女性に対してはこれをより強く伝えること。それを意図としています。

ファウンデーションズを始めて 1 年ほど経つと、ファウンデーションズを受講した女性の卒業生がそのままイマーシブに申し込んでくれるという流れが生まれました。ファウンデーションズはイマーシブブートキャンプに向けての、女性(もちろん男性にとっても誰にとっても!)にとっての足がかりとして認識していただいています。

またとある女性のファウンデーションズの卒業生からいただいたフィードバックには、イマーシブブートキャンプに入らなくとも今の職種の中で、ファウンデーションズで培ったテクノロジースキルがとても役に立ったというものもあります。それは例えばエンジニアと一緒に仕事をする中でより深く具体的に話ができるようになって快適になったとか、スプレッドシートでいろいろなツールを使えるようになったとか、いろいろあります。

To date, we have had over 17 English-language Foundations and 5 Japanese-language Foundations classes graduate!

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まとめ

これまでご紹介したとおり、これまでの軌跡は完璧な上昇直線ではありませんでしたが、それでも厳しい状況に対して足を止めるわけにはいきません。むしろこれまでの軌跡に誇りを持てるし、またこれによってさらに多くの、そして価値のあることを成し遂げようと思わせてくれます。

イベントを通してインクルーシブな環境を醸成し、STEM な分野に強い女性にスポットライトを当て、そしてプログラミングへの一歩を紹介することが、私たちの各期の中でより多くの女性に参加してもらうことの鍵となる要素でした。さらに多くの努力を積み重ね、それらが実ることを願っています。でもこれは私たちだけでできることではないのです。みなさんと一緒にやっていきたいと思っています!

アフリカのことわざで「子どもを育てるには村が必要だ」ということわざがあります。

このことわざはことあるごとによく振り返っています。永続的な効果のある変化を成し遂げるには村が必要だと。この場を借りて、私たちの村の一員となってくれている人たち、会社や組織に心から感謝を表したい。本当にありがとうございます。

まとめると、私たちの村は

  • 🙌🏻 女性の同僚、パートナー、友人、知人などなどにテクノロジーのイベントに来て参加することに一緒に踏み出す
  • 🏆 奨学金のスポンサーをしてもらい、よりいろいろな人に知ってもらう
  • 💃🏻💃🏻 コラボレーションしたイベントを開催する
  • 📢 ジェンダーの機会不均等について意見をし、また改善する
  • 📰 ポッドキャスト、パネルディスカッション、記事を通して STEM な分野に強い女性にスポットライトを当てる
  • 🚨 言いたいことを言える人たちの指標となる
  • 💡 女性に対してコーチングし、メンタリングし、ガイドする
  • などなど

をしています。

もし上記のなにかがあなたの心に刺さって私たちの村に参加したいと思ってくれたら、いつでも hello@codechrysalis.io まで連絡してください。

読んでくださってありがとうございます。

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女性の機会不均等に関して:

Code Chrysalis に関して:

Code Chrysalis は日本・東京にあるプログラミングブートキャンプです。3 ヶ月間で強靭なソフトウェアエンジニアになるイマーシブは、オンサイトではもちろんリモートでも受講可能です。

👋 いつでもお気軽にお問い合わせください!

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