一段上のエンジニアを目指すには?

6/4/2021

エンジニアが、テクノロジー知識を成果につなげるために必要な能力が「ソフトスキル」です。正確にコミュニケーションし、チームでコラボレーションし、会社や社会に価値を生み出すためのスキル、例えば、リーダーシップ、自立性、共感力、適応力などがこれにあたります。

ソフトスキルと聞いて、何を思ったでしょうか

「大事なのはわかるけど、具体的に何すればいいの」 「コミュ力向上させるって、結局無理なんだよね」

そう思ったとしたら、チャンスです。

あなたのチームはまだまだ伸びます。ソフトスキルは、あなたが思うよりはるかに成長可能で、環境に依存するものです。意識して方法を取り入れるだけで、必ずチームのパフォーマンスがあがります。

今回の記事では、2月18日のイベントで4人のリーダーたちが語った、「ソフトスキルを向上させ、チームのパフォーマンスを最大化するノウハウ」の中から厳選し、特に役立つエッセンスを4つお届けします。

パネラー含む参加者は、大手 SIer、メガベンチャーから、ほやほやのスタートアップや政府機関まで、十人十色のエンジニアチームを率いるプロフェッショナルたち。きっと、あなたのチームでも取り入れられるノウハウが見つかるはずです。

<パネラー紹介>

  • 桂康文(NTT データ アシスタントマネージャー)
  • 大角佳代(メルカリ エンジニア組織の人事と D&I Community のメンバー)
  • 新徳雅隆(コードクリサリス日本語プログラム事業責任者)
  • ヘザー・ドビン(コードクリサリス プログラムディレクター)
Panelers | Code Chrysalis Tokyo Coding Bootcamp

(1)リーダーシップは使い分けが重要

チームの風土を決める、リーダーシップ。チームの力を引き出すリーダーシップのコツはどこにあるのでしょうか。

<ポイント>

  • シチュエーショナルリーダーシップを意識し、目的に沿ったリーダーシップをとる
  • ミッションや目的を合意し、やり方には裁量を与えることで主体性を引き出す
  • 組織の階層構造は、上下関係ではなく情報の流れであることを理解し、助け合える関係を目指す


【桂】 ソフトスキルの中でも最も大事なものの一つは、やはりリーダーシップでしょう。シチュエーショナルリーダーシップという言葉がありますが、状況に応じてリーダーシップのとり方を変えるよう意識すべきです。

大規模で、止まることが許されないようなミッションクリティカルなシステム開発では、ヒエラルキー型の大規模な組織体系に沿った「指示型リーダーシップ」が必要です。

一方で、新規事業の時は、指示型リーダーシップに慣れていると、上からの指示で仕事をするという姿勢が染み付いてしまって何もできない。

新規事業をするときには、どんどんアイデアが出て主体的にみんなが動くよう、「支援型リーダーシップ」が重要です。心理的安全性を作ってあげるリーダー像が求められわけです。

【大角】 主体性や自立性を引き出すには、ゴールは合意しておいて、やり方、道筋は任せることが大切ですよね。致命的なとき以外は、失敗も許容して、うまくいかなそうでも尊重してやってみて、信じる。

ダメそうでも委ねる必要があって、ここでリーダーの度量が試される。そして、ダメだった時は一緒に方向修正をしてあげるんです。

【新徳】 同感です。自分自身はマルチスタンダードになって、相手に合わせる必要があります。

【ドビン】 チームのミッションを共有することも大切ですね。

【新徳】 そのとおりです。エンジニアとのコミュニケーションで意識しているのは、意味をシェアすること。

プロジェクトを進める中で、How と What はどんどん変わるけど、Why は変わらないんです。Why を合意することで、大きくずれることはない。How と What は任せるようにしています。

【大角】 リーダーのキャラクターや態度はチームに伝わってチームの雰囲気を作ります。自分の思いや、どういうチームを作りたいか、何を大切にしてるかを言語にして伝えることも、チームビルディングで常にやるべきことだと思っています。

【新徳】 同じ職場が長くなると指示型になりやすくなるので、無知の知を心がけています。

リーダーといえども、自分の弱みを見せることも大切。できないことは助けて、知らないことは教えてと素直に言うことで、多くの人に協力してもらえて仕事がしやすくなる。

組織の階層構造は、情報の流れを表しているだけで、人間の上下関係ではありません。誰が誰に頼ったっていいんです。

【桂】 誰しもやりたい仕事ばかりができるわけではないけど、誰と働きたいか、このリーダーのためにやり遂げたいと思わせるリーダーでいたい。そのために、自分がどんなリーダーシップを取っているか、時々立ち返る必要がありますね。

(2)共感を生み出すコミュニケーションには手法がある

日本人は共感力の強い国民性と言われますが、職場でうまく活かせていますか? 少しの工夫や手法を取り入れるだけで、チームのコミュニケーションは円滑になっていきます。

<ポイント>

  • ハイコンテキスト、ローコンテキストがあることを意識し、期待値を合わせる
  • ペアプログラミングや図式化などを利用して、共感を強化する


【大角】 チームで働くエンジニアにとってソフトスキルが重要な理由は、一人一人の個性や強みが違うからです。

働き方がグローバルになるとそれぞれが持っているバックグラウンドが複雑化して、国籍や年齢、偏見によりコンフリクトが起こる。その解決策の一つとして、ハイコンテキスト、ローコンテキストという概念を理解してコミュニケーションを取る必要あります。

コンテキストとは、言葉に含まれる裏の意味がどのくらいあるかのこと。日本語は、目に見える文章の裏に深い意味があるのでハイコンテキスト、英語はローコンテキストな言語と言えます。どちらがいいではなく、相手と会話の期待値を合わせることが重要なんです。

【新徳】 お互いを尊重し合い、共感できるチームになるために、ペアプログラミングの手法も有効です。最近では、個別にプログラムするより効率がよいとも言われていますね。

言葉のとおり、二人でプログラミンをするんですが、片方がキーボードを触ってコードを打ちます。もう片方は、どんな風にコーディングすればいいか隣にいて指示を出します。

この、指示を出す、知識のある側に学びが多いことが、ペアプログラミングのポイントです。同じプログラミングを何回教えていても、発見ってあるんですよね。コードクリサリスではこのペアプログラミング手法も教えています。

【大角】 共感という観点では、外国人メンバに、「日本人は、なんでそんなに相手のこと考えてるの?」って聞かれることがあります。

共感は、もともと日本人の得意なスキルなんですよね。なので、共感しやすい場面を作ってあげれば、自然とチームの風土は育つはず。

【新徳】 それから、言語には限界があって、100%伝えることは無理だと知ることも大切です。言語を補うために、数字や図などの道具は便利なので使うこともコミュニケーションスキルですね。

【大角】 大勢のメンバに共通認識を持たせたい時は、図式化が特に有効ですよね。それに、ホワイトボードを使って図を描くだけでも、手間をかけてコミュニケーションをしようとしてくれていることが伝わって、共感してもらえたり真剣に聞いてもらえたりする効果もあります。

(3)フィードバックは良薬になっているか

良薬は口に苦し。良いフィードバックも同様です。甘すぎるフィードバックは効き目のない薬。かと言って、思いやりがなければ単なる毒になってしまいます。フィードバックをうまく利用してチーム力を向上させるにはどうすればよいのでしょうか。

<ポイント>

  • フィードバック方法を個人の裁量にせず、プロセスや使う言葉などのフレームワークを統一する
  • ネガティブフィードバックを建設的に伝え、改善のチャンスにする


【ドビン】 日本人を見ていると、フィードバックスキルを向上させる必要性を感じます。まず、フィードバックは、あくまで仕事について行っているのであって、人格や人間性についてではないことを強調して認識する必要がありますね。

【大角】 たしかに、日本人はネガティブなフィードバックが苦手で、遠慮してしまうんですよね。甘すぎるフィードバックに不満を持ち、ダメなところをはっきり言って欲しいと言う外国籍メンバは多いです。

【ドビン】 フィードバック方法を個人の裁量に任せず、プロセスや使う言葉、ハイコンテキストローコンテキストみたいなレベルを合わせておくことが大切です。思いやりは忘れてはいけませんが、素直で正直にコミュニケーションできる必要があります。

【新徳】 僕も、フィードバックは、最も大切なソフトスキルの一つと考えています。僕は日本人にフィードバックを促すと悪いところのあら捜しに終始してしまうと感じています。日本人のフィードバックはポジティブなものも少なすぎる。

ポジティブフィードバックを10個出してください。そして重要なのは、ネガティブなものを、前向きで実行可能な建設的フィードバックに言い換えて伝えることです。改善策まで同時に提示してあげるということですね。

(4)グロースマインドセットは環境が育む

グロースマインドセットとは、経験や努力によってどんな能力でも伸びるという信念のことです。反対に、人間の能力は生まれつきある程度決まっているという考えを、フィクストマインドセットと呼びます。

この考え方の違いは、新しいことへの挑戦や、難しい問題に直面したとき、失敗などの場面で、人の行動に大きく影響します。一見すると、人の性格や個性に依存しそうに思えますが、マインドセットの決定要因は環境であることが、様々な研究により知られています。

グロースマインドセットを育てる環境について、考えてみましょう。

<ポイント>

  • 自主性を育むため、きっかけになるイベントや環境を用意する
  • 2割の優秀なメンバをうまく活用する
  • あなた自身がなんでもやってみる


【ドビン】 グロースマインドセットは、すべてのソフトスキルの根底にあります。自分にも相手にも、前向きなやる気を持てなければ、何も始まりません。

【桂】 チームにグロースマインドセットを持ってもらうには、やはり任せることが大切だと感じています。任されたメンバは、いつしか自分なりの工夫をしだすんです。

失敗したとしても、工夫したということ自体を評価していれば、育ちかけたグロースマインドセットの芽を摘まずにすみます。

【大角】 メルカリの中にも指示待ちメンバはもちろんいます。2・6・2の法則(*)とは言いますが、それでもソフトウェアエンジニアは少なからず向上心を持っている。

*組織では、2割が優秀な働きを、6 割が普通の働きを、残りの 2 割がよくない働きをするという法則

表に出ていない知的好奇心やモチベーションをあげるために、社内イベントで工夫をしています。例えば、社外活動をやっているメンバを見つけたら、社内向けにも取り組みを披露できる場を設けています。これは、ノウハウの共有だけでなく、互いのことを称える環境を作るためです。

優秀なメンバは、こちらがお膳立てしなくても勝手になんでもやってしまいますが、そういったメンバをうまく活用して、そうでないメンバの良いところを拾い上げることは、人事やリーダーの役割です。

【桂】 うちの組織でも、同様の課題を持っています。いつも同じメンバばかりが、自走してなんでもできる。

そんなメンバたちを見て、イノベーターみたいになりたいけど、どうやってなればいいかわからないし、自分にスキルが足りない、自信がないから結局指示待ちになってしまう人もいる。

そこで、主担当の業務外でも、2割のイノベーターにその他の人をくっつけて、何かに取り組んでもらう試みをしています。やり方を学ぶことで自信を付けさせて、自立性を高めることが狙いです。

【新徳】 色々な人を見ていて、「Bricolage」を意識すると変われる人が多いように思いますね。

あなた自身が、自分に関係ないものもなんでもやってみる、ということです。なぜかと言うと、やってみないと好きなことって見つからないし、見つかれば、好きなものってひたすら連続してできるんです。自ら動いてしまうようなものを見つけて欲しいなと思います。

【ドビン】 そのとおりですね。好奇心を持つことと、自分のことを表に出してシェアするが、グロースマインドセットを持つために大切だと思います。

ソフトスキルはなぜ必要なのか、どうやってそれを育むのか。チームで使えるヒントが見つかったでしょうか。イベントでは、会場やパネラーから、他にも様々なソフトスキルについての提案がありましたが、その紹介はまたの機会としましょう。

最後に、ここまで、手法などに言及してきましたが、

ソフトスキルは、挑戦によって成長していくスキルです

Whiteboarding | Code Chrysalis Tokyo Coding Bootcamp

小さな挑戦でも構いません、踏み出してください。そして、挑戦のきっかけにコードクリサリスを利用してもらえたら、こんなに嬉しいことはありません。

コードクリサリスでは、様々なエンジニア組織のメンバが集うイベントを、定期的に行っています。人脈づくりや、新たな視点の発見の場として、ぜひ覗きに来てください。

今後のイベント紹介はコチラから。

みなさんにお会いできることを楽しみにしています!

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